この本は、ミスター円と呼ばれている榊原英資さんが書いている本で、考えるための方法論をいろいろと解説している本です。
前の記事で竹中さんの本の感想を書きましたが、その本を買った時に、その横にこの榊原さんの本が置いてあったのです。竹中さんに興味がある人は、榊原さんにも興味があるということを本屋さんは知っているんでしょう。本屋の戦略だとわかっているけど、ついつい買ってしまいました。
この本で榊原さんが主張したいことはおそらく、現在のような不透明な部分が多い社会においては、「自分の頭で考えて、行動すること」が重要ということだと思います。
そのための考える具体的な方法が紹介されている本です。
いわゆる自己啓発の本なんだと思いますし、そういう内容が大部分を占めるのですけど、所々に榊原さんの人間性を知ることができるような記述がある本でもあります。
為替取引をしている人などで、ミスター円と呼ばれている榊原さんのことを深く知りたいと思う方にもおすすめの本です。
個人的に、おもしろかったのは「世の中のほとんどはグレーであり、科学的結論は常に暫定的なものである」ということです。
世の中に真理や絶対的なものなど存在しないということです。「これをやれば絶対に痩せる」とか「これをやれば絶対に儲かる」とかいうことはあり得ないんですよね。
もし、そういう真理などがあれば「考える」という極めてめんどくさいことをする必要はないのです。何も考えずにそれをやればいいだけのことですから(誰か忘れましたけど、有名な哲学者が「人間は考えるよりも死を選ぶ」と言っていました。人間にとって、それくらい考えるというのはしんどいということ)。
でも、そんなものはないからこそ自分で考えなければならないのです。
真理がないからこそ、自分の頭で考えて、一定の段階で結論を出して行動に移す。そして、また考えて改善していく。
これの繰り返しで、永遠にたどりつけないけれども、真理に少しでも近づいていくしかないんです。
要するに、PDCA (Plan-Do-Check-Act)サイクルを素早く繰り返せるスピード感のある思考力を有する者が勝つということです。
考えることも大事だけど、目的を持って考えて、ある程度の段階で実行に移さなければならないということ。考えすぎて行動できないというのでは本末転倒です。(下手の考え休むに似たり)
これからの時代を生きていくためには、本のタイトルである「スピード思考力」を身につけなければならないということでしょう。
この本は、単なる自己啓発本ではなくけっこうおすすめです。
最後に、竹中さんと榊原さんを比較してみると、二人とも金融・経済のプロフェッショナルで、国際的な感覚が豊かだという共通点があります。他方で、竹中さんは、アメリカ的な考えにどっぷり浸かっているの比べ、榊原さんは、アメリカ的な考えと、日本的なもののバランスをうまく取っている人のような気がします。
榊原さんの人間性が垣間見られる部分があります。本の最後のページに、「そのために重要なのは、常に他人と比較し、考えること。考えて考えて、徹底的に考えて、仮説と検証を繰り返していくことです。」とあり、考えることの重要性を主張されています。
そして、その文の「そのために」が指している部分。つまり、何のために考えるのかという、考える目的として以下のように書かれています。
「私たちは一人ひとりが異なっているし、一人ひとりが他人と違う特殊性をもっています。だからこそ異質さを理解し、自分の異質さを"特性"として活かしていかなければならないでしょう。・・・どんなに先の見えない時代にも、自分が望むような道に進める方法は必ずあります。それを探し求められる能力こそ、生物として人間のみが与えられた考える力の醍醐味なのではないかと思います。」
全体主義的な考えになりがちな経済や金融のプロフェッショナルでありながら、個を尊重するということを重視している方なんだなと感じました。




素質のある人が磨かれるための取り組み方
つるっとした本
こんな本読む暇があったら勉強しましょう



