書評: 2009年2月アーカイブ

伊藤塾の塾長である伊藤真先生とライフネット生命の岩瀬大輔さんが共同で執筆した「超凡思考」を読みました。

二人とも東大在学中に司法試験に合格するというスーパーエリートです。

一応、ジャンル分けするとすれば、今流行の仕事術とか勉強術的な自己啓発本になるのだと思いますが、伝えたいことの本質は、「自己を知ることがなにより大事」という人間にとって普遍的で本質的に大事なことなんだと思います。

まず、認識しなければならないことは、私たち人間に与えられているリソースは有限であり、人間はそれぞれ違ってあたり前、とういうことです。

これが全ての人にとって大前提です。

私たちに与えられている時間・能力・金などは全て有限です。

確かに、やりたいことはたくさんあるし、欲しい物もたくさんある。それらを全てやることができれば楽しいだろうし、幸せだろうなと思います。

でも、時間的、能力的、金銭的に全てをやることは不可能です。

私たちが、生きている間にできることは、ほんとにごくわずかのことに限られています。

だからこそ、やるべき事は、自分にとって本当に必要なことに絞りこまなければなりません。

また、その絞り込んだことに関しても、できるだけ効率よくやらなければなりません。いくら対象を絞ったとしても、全てが有限なのですから、いつまでもやることはできないからです。

ここで、大事になってくるのが「自己を知る」ということです。

自分がやるべき事を選択したり、手に入れる物を選択するときに、大事な基準になるのは、ほんとうに自分にとって必要なものなのかということ。やりたくもないことをやったり、不幸になるようなことをやるというのは馬鹿げている話で、自分が楽しく幸せになれることを選択することが重要です。

また、効率的になにかやるときにも、自分にとって最も効率のよいやり方でやることが大事なのであって、ある人にとって最適な方法が、自分には必ずしもあてはまらないということだと思います。

「人間はそれぞれ違ってあたり前」なんですから、自分に最適な方法を見つけなければならないのは当然です。この時に自己を知ることができてれば、最適な手を打つことができるわけです。

例えば、自分の長所をさらに伸ばすとか、短所に対して何らかの対策を取るとか。

つまり、人の真似をすることではなく、自分を深く理解して、それに応じた手を打つことだ大事だということです。

超凡思考は、ジャンル的には、仕事術関連に分類される本だと思うのですけど、その冒頭で、「僕は、仕事術の本を読んで仕事ができるようになったという人に出会ったことがありません。」と書いてあります。

人それぞれ違ってあたり前というのが、大前提なのですから、仕事術とか自己啓発系の全てにおいて妥当すると思うのですけど、自己を知らずに、誰かが言っていることをそのまま自分にあてはめてもうまくいくわけがないのです。いくら大成功者の言葉であったとしても。

いろいろと技術的・精神的なこともたくさん書いてあるし、仕事術・自己啓発の本としても楽しむことができると思いますけど、御二人が一番伝えたいことは「自己を知る」ことなんだと思います。

一見するとさらっと読める仕事術・自己啓発的な本ですけど、すばらしい結果を出している御二人が書いている本だけあって、読めば読むほど深い部分が見えてくる本だと思いました。

超凡思考
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5 テクニック紹介本ではない

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世界的に有名な投資家であるバフェットが経営しているバークシャー・ハサウェイの株主には、毎年、バフェット自身が書いた手紙が送られてくるそうです。

その手紙を1冊の本にまとめたのが「バフェットからの手紙」です。

いろいろなバフェット関連の本が出ていますけど、ほとんどのものがバフェット自身が書いたものではありません。

つまり、「バフェットからの手紙」は、バフェット自身が書いた文章が掲載されている貴重な本です。

いくらバフェットのことをよく知っている人が書いた本であったとしても、バフェット自身が書いた本とは全く価値が異なります。

バフェットの投資哲学を深く知りたければ、こういう本を読むべきだと思います。

ちなみに、バフェットから株主に送られる手紙は、バークシャー・ハサウェイのオフィシャルサイトで誰でもみることができます。

この本は、バフェットからの手紙を大きく5つのパートに分けて順番に紹介している構成ですけど、無理矢理分類したという感じで、あまり意味はないと思います。

1、コーポレート・ガバナンス(Corporate Governance)

2、コーポレート・ファイナンスと投資(Corporate Finance and Investing)

3、普通株(Common Stock)

4、合併・買収(Mergers and Acquisitions)

5、会計と税金(Accounting and Taxation)

いろいろな事例をあげて、どのような会社が利益を上げることができるのかを説明しているのですが、結局、バフェットがやっていることは1つだと思います。

「1.事業の内容を簡単に理解することができ、2.将来にわたり長期的に好ましい業績が見込め、3.経営幹部が誠実で有能な人々である会社を、4.魅力的な価格で購入すること」

これをするためには、「企業価値の評価法」と「市場価格のとらえ方」の2つを徹底的に勉強することで十分であり、ビジネススクールでやる最新の理論などは必要ないと言っています。

このやるべきことを絞り込むという考え方は、別のところにもよく出てきます。

つまり、人間というのは、万能の神ではないから、自分ができることというのは限定されており、自分がやるべきことを絞り込んで、その絞り込んだ対象に全精力を注ぎ込むべきだということです。

これは、投資の世界の話ではなくて、なにをする場合でも大事なことだと思いますし、自分自身が一番苦手なことだとも思っています。

バフェットは、自分のやるべきことが何かということを、自分のライフスタイルも含めて完全に理解しているんだと思います。

どの部分忘れましたけど、何らかの文章の後に、わざわざ括弧書きで、(自分のライフスタイルを崩してまで金儲けをすることに何の意味があるのか?)みたいなことを書いていたことがそれをうかがわせます。

他にも、具体的で深い企業の分析手法なども書かれていますし、投資のためにも役立つ本であることに間違いはありません。

ただ、バフェット自身が株主に書いた手紙をまとめた本ということで、バフェットの人間としての本質的な哲学みたいなものを知ることができる本だと思います。

自分ができることは限定されているのだということが理解できて、目の前がすごくクリアーになった気がします。

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